TOPPAGE - ごあいさつ

教授ご挨拶

東海大学医学部専門診療学系
精神科学教授 松本英夫

近年の脳科学の飛躍的な進歩によって精神医学の世界に画期的な変革がもたらされています。過去、長い間その病態や原因が分からなかったために手探りで診療や治療が行われてきた疾患に対して科学的な解明が進んでいるのです。精神医学は主に“脳”という臓器を診療や研究の対象にしています。それは肝臓、腎臓、心臓、など他の臓器と同様に疲労もすれば変調も起こすことがある一つの臓器です。そこで“脳”の働きや障害に対して科学的な理解や接近を試みることが精神科医にとって必要な基本的な臨床的姿勢といえます。

一方、確かに“脳”の働きの結果である“こころ”について全て科学的な計算式で理解をすることは不可能です。“こころ”は科学だけでは解明ができない膨大な空間を含んでいるのです。しかし精神医学は“脳”だけではなく“こころ”を診療の対象にしていることも事実です。それではわれわれ精神科医は“こころ”にどう接近し理解すればよいのでしょうか。実は、今ではすっかり衰退してしまった精神医学のある領域で、“こころ”の働きについて地道に臨床や研究が行われてきました。力動的精神医学といわれる領域です。当教室では開設以来の長い精神分析学の歴史があり、その上で力動精神医学、児童青年精神医学、乳幼児精神医学などの臨床活動を行っています。いずれも“こころ”の成り立ちや経過を患者さん一人ひとりについて乳幼児期から丹念に辿ることによって、現在の有り様を理解し、場合によっては介入するものです。人の“こころ”というものをどう考えるのか、という臨床的な姿勢を学ぶ学問と言ってもよいと思います。

当教室では“脳”に対する科学的な理解と、“こころ”に対する力動的な理解を、車の両輪のように重要な精神医学の基本であると考えて新人や若手医師の教育にあたっています。まさしくbio-socio-psychoのバランスの整った精神科医を目指す方々をお待ちしています。

東海大学医学部専門診療学系
精神科学教授 山本賢司

今日の精神医療は精神科病院、一般病院、クリニックなどの医療機関だけで完結するものではなく、地域の介護支援サービスや行政機関など様々な施設と関係を保ちながら行われています。その中で、精神科医は診察室・ベッドサイドではこころの問題を抱える患者さんの主治医として、また、医療チームや地域医療の中ではリーダーとしての役割を担っています。この役割を確実に果たすのには、的確な精神科診断や治療を行うための知識・技術の習得はもちろん、患者さんやそのご家族、身体科の医師や他の医療・福祉のスタッフと円滑なコミュニケーションを築くスキルの獲得が必要です。また、将来独り立ちして業務を行っていく上では、新しい情報の収集や得られた情報の科学的吟味なども必要となり、一生続く「学び」の場を確保することも大切です。私は精神科医としての上述の知識やスキルを身につけるために必要なのは、精神医療へ真摯に関わっているスタッフとの出会いだと思っています。

東海大学医学部専門診療学系精神科学は、開学当初から成人と児童の精神科臨床・研究を両輪として今日に至っています。臨床面では成人、児童の症例を指導医のスーパービジョンを受けながら担当することができます。成人の精神科臨床として力を入れているのは、身体科病棟や救命センターにおけるコンサルテーション・リエゾン精神医学、緩和医療であり、看護師や心理士、ソーシャルワーカーなどとともにチーム医療を実践しています。児童に関しては外来や地域で症例を多数経験でき、研修連携施設の中には思春期病棟を有する精神科病院もあります。研究面では成人、児童精神医学の領域以外にも、総合大学である強みを生かし、医学部の基礎医学系の研究室や教養学部、健康科学部などとの共同研究が行われています。教育面では、臨床助手(後期研修医)に対する「東海大学医学部精神科専門研修プログラム」として、伊勢原の大学病院を基幹施設とし、研修連携施設である近隣の8つの精神科病院、神奈川県精神保健福祉センター、東海大学八王子病院と連携しながら研修を進める体制を構築しています。

大学や大学病院は多くの人が出会い、学び、そして、高め合う場所です。時には厳しく、大変なこともあるかもしれません。しかし、臨床や研究上の困難は皆で相談し、協力し合うことで乗り越えられるものであると信じています。患者さんやご家族の幸せのために、そしてそれぞれの先生方が精神科医として豊かな人生を送れるように、私自身微力ながら尽力していきたいと思っています。ぜひ一度、東海大学医学部専門診療学系精神科学の門を叩いてみてください。

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